がんばっていきまっしょい・第10話(最終話)
1クール通して「女子ボート部の伝説」が長々と描かれたこのドラマは、ストーリー、BGM、自然美、そしてアットホームさと、総合して好評価のまま楽しめました。キラキラした青春の一ページって、良いものですよね。さて、レビューもいよいよラストレースへ!
○ドラマ視聴率は本館サイトの該当コーナーから!
○フジテレビ系「がんばっていきまっしょい」
第10話(最終話)「サヨナラ」
出場できずふさぎ込んでいた悦子(鈴木杏)は、幸雄(大杉漣)に連れられ、全国大会の応援に向かった。仁美(石田ゆり子)は、試合に向け利絵(相武紗季)たちの座席を変更。予選当日、女子部はペースを乱すが、準決勝進出を決める。一方、同じく準決勝に進出した男子部は、中田(田口淳之介)が関野(錦戸亮)に口を出し、二人は険悪な雰囲気になる。
(ドラマ終了後)うん、満足ぞ!!
とりあえず、ストーリーをじっくり追っていきます。
悦ネェと父・幸雄は全国大会会場の琵琶湖へ車で向かったが、途中で道に迷う有り様(笑)。でも同じく応援に向かっていた佐野(菊池均也)のおかげで、何とか会場へ。翌日の予選では2位に入り、男子部と共に準決勝へ。そして準決勝当日、昨夜スタートダッシュの件で大ゲンカしたブーこと関野と中田だったけど、レースでは息がピッタリ。しかしゴール直前で、下級生部員が漕ぎで失敗してしまい4位に・・・。レース後、「本当にすみませんでした!」と皆に必死で謝る下級生部員。そこで中田が呆れ顔で去ろうとする中、ブーは怒りの表情を見せずに笑ってこう言ったんよ・・・。
○第10話・ブー・関野が下級生部員に向かって伝えた激励の言葉ありがとう。
一緒に漕いでくれて、ええ想い出になったわ。
ありがとう。頑張れ。(オールを担ぎ上げるブー)
来年は、お前がこの部、引っ張れ。
今の悔しさを忘れんと、頑張れ!(オールを受け取り深々と頭を下げる下級生部員が一言)
ありがとうございます!
灯台下暗し。ホントお前は良いヤツ。実はだね、ブーがね、最高の色男さ! みんなみんな、悦ネェだって、そんなブーを見ていたよ。“ブー”なんていう呼び名は、もう卒業! ボートの“ボー”でいこう、“ボー”で!(おいおい)
その頃、男子部の惜敗を見た女子部は、レース前だというのに弱音を吐いて不安そうな状態。そこへ悦ネェが現れて、腰痛のせいで漕ぎたくても漕げない辛い気持ちを含めながら、皆に向かってこう言ったんよ・・・。
○第10話・悦ネェが女子部員たちに向かって伝えた激励の言葉言い訳や。そんなん言い訳や。
皆レース前に何言うてんの。
そんな言い訳、私は許さん。逃げとるだけやろ。
レース前の緊張や、不安から。
皆逃げとるだけや。そんなん私許さんよ。
私、自分自身そうやったから分かる。
言い訳してると、「腰のことさえ無かったら」とか、
「運が悪い」とか、「可哀想」とか・・・。
いろいろ言い訳してると、ものすごい疲れてくる。
でも気付いたんよ。私、「楽してた」って。
今一生懸命やらんことの言い訳、探してただけやったって。
自分、ものすごく情けなく思ったんよ。
今、一生懸命やらな。今頑張らな。
言い訳したら、あかんのよ。
皆は今漕げるんよ?
目ぇいっぱい漕いで、頑張ってよ、
できるよ、あんなに練習してきたんやもん。
皆ならできる、できるよ絶対。
絶対できる!
熱心に語った悦ネェ・篠村悦子。それを熱心に聞いて勇気付けられた、リー・矢野利絵、ダッコ・菊池多恵子(岩佐真悠子)、ヒメ・中崎敦子(佐津川愛美)、イモッチ・中浦真由美(藤本静)、そして下級生部員2人。7人の女子部員たちは静かに集まって、気持ちを高めました。毎回ながら、悦ネェの言葉は心に伝わってきますね。良く言った、キャプテン・悦ネェ!
いよいよ女子準決勝。漕げない悦ネェの代わりにリーが指揮を取り、レーススタート! コックスのヒメが「一本! キャッチ、二本! キャッチ、三本! キャッチ、四本! さぁ行こう!」と声を掛け、「キャッチ、ロー! キャッチ、ロー!」のリズムで前半から飛ばしていきました。その頃岸では、悦ネェがコーチの仁美に「漕ぎたい、思いっきり、漕ぎたい・・・」とうっすら涙を浮かべながら語ると共に、「6人目のクルーになる」と言いました。そのうち悦ネェたちの前に部員たちのボートがやってきたけど、漕ぎのリズムがやや乱れていて心配な状態。そこで悦ネェがボートを追って走り出し、「頑張れー! 松山第一ー! 行けー!」と掛け声を上げて応援しました。それに気付いた部員たちは、本来のリズムを取り戻して漕ぎに集中。痛む腰を押さえながら、必死に走る悦ネェ。その姿はまさに、“ボートに乗らない6人目のクルー”でした。ここで、仁美が語る感動のナレーションが入ったんよ・・・。
○第10話・仁美がレースを振り返った感動の言葉すごい記録を出すレースがある。
輝かしい勝ち方をするレースがある。
でも、私にとってのベストは、今のこのレースや。
6人目のクルーがいた。
彼女の呼び掛けで、チームが集まった。
念願の大会。彼女は出られんかった。
彼女の名前は、ボート史には、決して残らない。
でも、このレースは、ベストのレースだった。
この日、会場にいた人たちにとって、
6人目のクルーがいたレース。
決して忘れることのない、
皆にとっての・・・ベストのレース。
この間、レースの模様や走る悦ネェはスロー映像で描かれ、さらに感動させられるBGMも流れ、より一層印象的なシーンになりました。「スパート! スパート!」というヒメの掛け声でラストスパートを決めた松山第一の結果は、惜しくも4位。でも仁美が語った通り、確かに意味のある「ベストのレース」でした。ゴールした後で、途中腰の痛みでうずくまっていた悦ネェが静かに立ち上がった時には、私はもう涙が出まくりで・・・。その後女子ボート部一同は、応援に駆けつけた皆の前で「皆さん、3年間、応援ありがとうございました!」と礼を言い、皆は暖かく拍手を送りました。悦ネェたちの最後の夏は、ここで終わり・・・。
この先は「高校卒業後の進路」が描かれました。高校3年・初秋、悦ネェは全国大会の時に撮影していたカメラの魅力に惹かれたせいで、大学には行かず東京にある写真の専門学校に入ってカメラマンになることを決意。父・幸雄は猛反対し母・友子(市毛良枝)は驚いたけど、祖母・キヌ(花原照子)や姉・法子(浅見れいな)はそれに賛成し激励しました。そして、2005年・初春、平成16年度の卒業式の頃。女子ボート部OBとなる5人は、仁美と男子部コーチで夫の大野(池内博之)と最後の会話をし、そのまま艇庫へ。3年間ボートに打ち込んできたんだもんね・・・。そこで、「悦ねぇ・ダッコ、ヒメ、イモッチ、りぃー」とマジックで寄せ書きされたボートにそっと触れ、5人による記念写真を眺めながら数々の想い出を振り返っていました。
その後、ユニフォームに着替えた5人は、卒業記念にボートで漕ぎ出しました。そこで悦ネェが冗談を言う中で、ヒメが「濃い、濃い、濃い、高校生活やったな。」と言い、リーが「深い、深い、深い、毎日やった。」言いました。これらは、初回話で悦ネェがボート部勧誘で訴え掛けた時の言葉で、今いる5人が集まるきっかけとなった言葉。そこから伝説が始まったんだよね。ほんと、いろいろあったなあ・・・。そして「ラスト5本(しぇい!)」を決め、イージーオールでボートを止めました。そして5人で、こんな会話をしたんよ・・・。
○第10話・“伝説の5人”が高校生活最後に語り合った感動の会話悦ネェ「バウ(イモッチ)、ありがとう。
2番(ダッコ)、ありがとう。
3番(リー)、ありがとう。
コックス(ヒメ)、ありがとう。」
ヒメ「整調(悦ネェ)、ありがとう。」
リー「キャプテン(悦ネェ)、ありがとう。」
ヒメ「悦ネェがおったから、私たち、やってこれたんよ。」
リー「ほうよ、私らの、大事なキャプテンよ。」
ダッコ「自慢のキャプテンや。」
イモッチ「大好きや、キャプテン!」
悦ネェ「(涙を浮かべて)オールメン、ご苦労さんでした!」
他の4人「ご苦労さんでした!」(全員ボートの上で横たわる)
悦ネェ「高校生活、イコール、ボート。すなわちマル。
[高校生活=ボート。すなわち○。]」
リー「何それ?」
悦ネェ「青春方程式。」
イモッチ「おっ、悦ネェ、ええこと言うた~。」
リー「高校生活=ボート。すなわち○。」
ヒメ「高校生活=ボート。すなわち○。」
ダッコ「高校生活=ボート。すなわち○。」
イモッチ「高校生活=ボート。すなわち○。」全員「高校生活=ボート。すなわち○。」
夕方の空と海の中で浮かぶボート。そしてまたもや感動させられるBGMが流れ、素晴らしいシーンになりました。これで悦ネェたちの高校生活の回想シーンは全て終了し、現在の仁美と瓜生みずき(悠城早矢)の会話シーンへ。ここで、仁美により5人のその後が明らかになりました。リーは某大学の医学部へ入り、班長になって張り切っている様子。イモッチは広島の大学に入り、いつかボート部の顧問になりたがっている様子。ヒメは大阪の大学に入り、ボート部のマネージャーとして頑張っている様子。彼女が好きだった安田(北条隆博)もそこにいました。ダッコは地元の愛媛大学に入り、かつてライバル校だった新海高校の元部員・田中ちえみ(関めぐみ)と共にボートをやっていました。ちえみが声調(船首から4番目でコックスの手前)でダッコは2番(船首から2番目)で、お互い反発しながらも頑張っていました。それらを知ったみずきは、「私、ボートやりたい。頑張って、一高(松山一高)受ける。ほんでボート部入る。仲間作る。悦ネェたちみたいに・・・。」と言うと、仁美は笑顔で「待ってるよ!」と答えました。そして最後は、悦ネェの話へ・・・。
まずは、中田が東大文Iに合格。根本満(小日向文世)と妻・緑(友近)が夫婦で経営するお好み焼き屋「メルボルン」で、バイトしていた悦ネェは「東大?」と驚き、中田は「ちょろいもんや」と一言。有り得ん、マジかよ!(笑) そして悦ネェは、東京へ向かう2005/03/22の出発前夜(2005/03/21)、自宅で荷物をまとめていました。そこへブーが登場し、外で悦ネェと会話。ブーは東京商船大学に合格していて、東京へ行くことと共に「俺、船乗りになる」と悦ネェに伝えました。ブーから「自分の生き方」を聞いた悦ネェはそれを理解して、「あんたらしい。ええ答えや。正解やと思うよ。ほいじゃ、腐れ縁もとうとうお終いやね。」と言ったところで、ついに「待ってました!」と言わんばかりのブーの発言が炸裂したんよ・・・。
○第10話・ブーが悦ネェに決めた“改心の一撃”の言葉俺は・・・。
俺は、悦子のこと、ずっと見てきた。
これからもずっと、大勢の人間に紛れても、
俺は、悦子のことだけ見とる。(目をそらす悦ネェ。彼女の正面に立つブー。)
誰か、そばにいてほしくなったら、いつでも連絡くれ。
いつでも、どこにおっても、飛んでいく。
それだけは約束する。(悦ネェの手を取って、連絡先の書かれたメモを渡すブー。)
完璧や! また“ブー”なんて言って悪かった! モ゛ー!(ん?)
最後は、悦ネェの東京行きのシーン。タラップが船から遠ざけられて出発し始めた時、悦ネェは岸で遠くの方から控えめに眺めていた幸雄の姿を発見! 「お父ちゃん・・・」といって船の後方まで駆け寄った悦ネェは、なんと深く一礼しました。当初あれだけ東京行きを猛反対していた幸雄も、あれから悦ネェ自身が決めた道を尊重し認めたんですね。このシーン、撮影日の都合で小雨が降って強い海風が吹いていたんだけど、それが逆に良い効果を生み出していました! そしてそこへ、リー・ダッコ・ヒメ・イモッチの4人が駆けつけ、「がんばっていきまっしょい!」とお互いに大声で掛け合いながら手を振り続けました。静かに目を閉じる悦ネェ。そして一呼吸置き、目を開けて小さく一言。「しょい!」。このドラマらしい、完璧な締めでした!
その直後にエンディング、aikoの主題歌「キラキラ」が流れ出しました。映像は全話のダイジェストで、歌の「♪そうやって悲しい日を越えてきた」の時は悦ネェたち5人が泣くシーンと重なっていました(偶然?)。そしてそれは原曲の1番の部分で、そこから通常のラストサビにつないで「テレビバージョンのエクステンドバージョン」という形になりました。その間キャストやスタッフや衣装・美術協力の字幕が流れたんだけど、高校や大学のボート部や各種団体による撮影協力の字幕がかなり多かったです。さらに“Special Thanks To”として、映画版「がんばっていきまっしょい」の字幕もしっかり含まれていました。やがて、いつも通りのラストカットへ・・・。
(ドラマ終了後)うん、満足ぞ!!
改めて、冒頭で書いた言葉を最後に添えました。しょい! まず「聞かせるセリフ」が良かったです。特に悦ネェの言葉は、毎回書き留めたくなるものばかりで例外無く感動を誘いました。脚本担当の金子ありささんの力ですね。そして「ストーリーに合ったBGM」も良かったです。音楽担当の吉俣良さんによる数々のBGMは、心に残るものばかりでした。彼の音楽の良さは大安定ですね。
このドラマは、現実に起きた“ある事件”によってドラマ自体のリズムが狂い(もう思い出したくない)、第4話の後に「特別艇」が急遽置かれたり、1話短縮もあってか「最終艇(最終話)」が30分拡大放送(スペシャル扱い)になったりで、視聴者としてもリズムを狂わされる気分になったのは、悲しいけど事実です。でも、そういったマイナス面をカバーするかのような、プラス面と言えるストーリーの構成が本当に良かった。そして、アットホームさを伺えるキャストやスタッフたちの雰囲気も良かった。最終話の冒頭で悦ネェたちが道に迷ってしまったけど、悦ネェが電車を頼ろうとして「かみせがわ」駅で駅員に質問するシーンがありました。覚えていますか? その駅員、実は照明担当のスタッフ“かねごん”さん(おそらく関西テレビ所属の金子宗央さん?)だったんですよ! 彼のblog「がんばっていきまっしょい」の、9/12の投稿記事「大事な報告があります。」や9/16の投稿記事「『駅員かねごん』が学んだこと」等を読むと良く分かるけど、他の記事を読むといかにアットホームな雰囲気の中で撮影が行われていたかも良く分かります。そしてこういったスタッフblogが存在したことで、ファンとの交流の場にもなったわけです。とにかくこのドラマは、ボートを通して「リズムと呼吸」のことを強く思い続けた作品でした。
余談だけど、最終話直前のレビューで私が提言した「サブタイトルのすごい秘密」は、最終話のサブタイトルが「サヨナラ」とされたため「該当せず」となりました。ただ、「サブタイトルの文字数が女子ボート部の主要メンバーの現在数と一致」を「サブタイトルの文字数が女子ボート部の主要メンバーでボートを漕げる状態にあるアクティブメンバーの現在数と一致」と置き換えることで、強引ながら何とか維持することができ(笑)、このレビューも無事「イージーオール」とすることができそうです。今後は原作小説を買って読んだり、あえて見なかった映画版を見たりして、ドラマの余韻に浸りながらいずれ発売されるDVDを待っていようかな。
「がんばっていきまっしょい=名作。すなわち○。」
これ、私の「批評方程式」です。最後にもう一度。がんばっていきまっしょい!
○関連記事「がんばっていきまっしょい・第1~3話」
○関連記事「がんばっていきまっしょい・第4話&特別艇」
○関連記事『aiko・Mステで「キラキラ」披露~支持される秘密~』
○関連記事「がんばっていきまっしょい・第5&6話」
○関連記事「がんばっていきまっしょい・第7~9話」
・主題歌「キラキラ」(aiko)
・「がんばっていきまっしょい」オリジナル・サウンドトラック
●原作小説&映画
・原作小説「がんばっていきまっしょい」(敷村良子・「第4回坊ちゃん文学賞」大賞作)
・映画「がんばっていきまっしょい」(田中麗奈、他出演)
・「がんばっていきまっしょい」オリジナル・サウンドトラック
○アルタミラピクチャーズの代表作(私のオススメ!)
・映画「ウォーターボーイズ」
・ドラマ「ウォーターボーイズ」DVD-BOX
・ドラマ「ウォーターボーイズ2」DVD-BOX
○関連カテゴリ「ウォーターボーイズ2」
【 http://adstv-web.cocolog-nifty.com/studio/waterboys2/ 】
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