スローダンス・第11話(最終話)
スローな展開で見どころが「理解」できず、批判ばかりのレビューを書き続け、第9話で不満のピークに達しながら、第10話の時点である種の「誤解」に気付き、最終話の締めくくり方に期待するようになった自分・・・。「理解」と「誤解」の間で、本当にいろんなことを考えてきました。さあ、最終的にどの位置へ収束したのか? いよいよ「スローダンス・レビュー最終章」を披露したいと思います!
○ドラマ視聴率は本館サイトの該当コーナーから!
○フジテレビ系「スローダンス」
第11話(最終話)「ずっと好きでした」
理一(りいち・妻夫木聡)は、衣咲(いさき・深津絵里)に完成した映画の編集テープを届けた。衣咲は喜ぶが、そこに梶(真木蔵人)が現れ、衣咲に仕事の話があると会社へ連れて行く。翌日、衣咲は理一に「考えさせられた」と映画の感想を伝え、テープを返却。理一は、衣咲の感想を気に掛ける。そんな中、衣咲は理一を呼び出し、大阪店へ店長として転勤すると明かす。
前回第10話のレビューで最後に挙げた、「最終話における私の見どころ」の3つを掲げながら、まずはその結果を振り返っていきたいと思います。
1. 「登場人物たちの行き着く先」二組ほどがくっついてハッピーエンドになりそうな感じではあるけど、多くの視聴者が納得できる「理解あり」の結末を望みます。最後まで「誤解」のままなんて悲し過ぎる!
一つずつ消化していきます。
>二組ほどがくっついてハッピーエンドになりそうな感じ
“理一&衣咲”と“英介(藤木直人)&実乃(広末涼子)”の二組がくっつきました。
これは当初の予想通り! ほぼ大安定の予想でもありました。
また、“一坂(温水洋一)&婚約者・花枝(松野明美)”が問題無くくっつき、
意外な線で、八嶋(小泉孝太郎)&西山(村岡希美)がくっつき、
他には、衣咲の母・千景(高畑淳子)と日下部(岩松了)がくっつき・・・。
たぶんこんなところでしょう。というわけで今回は、5組っ!(ねるとん風)
>多くの視聴者が納得できる「理解あり」の結末を望みます。
理一&衣咲は、紆余曲折はあったが良い方向へ。
英介&実乃は、急展開で良い方向へ。
以下、略(笑)。
一応筋は通っていたようですね。これは後ほど詳しく!
2. 「理一の夢・衣咲の夢・皆の夢」理一の「映画」に対する情熱は、どの程度のものなのか? 夢を再び目覚めさせた衣咲は、どう思い何を感じるのか? これは大きいです。予想では「○年後」というシーンが描かれると思います。そしてラストカットは、二人の後姿のシルエットと共に「Fin.」という字幕が出たりして、映画の1シーンみたいになると良いなあ!
一つずつ消化していきます。
>理一の「映画」に対する情熱は、どの程度のものなのか?
思ったよりはマジ。再燃できたのは衣咲のおかげ?
そのレベルは、映画のコンテストで準グランプリを取るほどのもの。
「グランプリ一歩手前」っていうのが、“理一(リーチ)”っぽいんだけど。
>夢を再び目覚めさせた衣咲は、どう思い何を感じるのか?
衣咲の理一に対する最初のイメージは、
「教習所の教官」というよりは「茶店で出会った嫌な客」。
それ以前に「教育実習生の自分が見る一生徒」ではあったけど。
優柔不断さが付きまとう中、衣咲は理一を理解していった。
最後はお互いに理解し合えるようになった・・・。
これも後ほど詳しく!
>予想では「○年後」というシーンが描かれると思います。
最後のシーンは「2006年初秋」でした。
つまり「1年後」。一応当たっていますね。
>ラストカットは、二人の後姿のシルエットと共に
実際のラストカットは、二人が乗った車の後姿と、パンアップ後の青空でした。
>「Fin.」という字幕が出たりして、
「Fin.」ではなく「このドラマはフィクションです」でした(笑)。
>映画の1シーンみたいになると良いなあ!
映像的には、車が去っていくシーンで終わったから、
「映画の1シーンみたい」だと言えないこともないけど・・・。。
これも後ほど詳しく! 総合すると、予想は半分正解ですね。
3. 「『スローダンス』というタイトルが意味するもの」まさか「ストーリーがスローだから」というつまらない理由で終わるはずがない? きっと何か本当の理由が見出せるはず? 基本的に「スローダンス」というタイトルはオシャレでキレイで好きでした。エレガントなものは特に求めないけど、ドラマにおける“ラストダンス”は最高のものを求めたい!
意味するものは、全部で5つあったと思います!
一つ、「ストーリーがスロー」。これはもう誰もが思う定番文句(笑)。
二つ、「理一の信念みたいなもの」。「ゆっくりゆったり」のことですね。
三つ、「理一が準グランプリを取った作品のタイトル」。「SLOW DANCER」でした。
四つ、「理一と衣咲が最後に見せたラストダンス」。ぎこちなかった(笑)。
五つ、「曖昧な展開で踊らされた視聴者の思いの一言表現」。これは大きかった!
というわけで、順番が逆になるけど「ラストシーン」について。理一は東京で映画を撮り続け、衣咲は大阪の転勤先で仕事をし続け、約1年後の実乃と英介の結婚式の機会に再会。映画祭参加作品の発表日で遅れて来た理一と、教会で一人残って待っていた衣咲。二人はこんな会話をしました。
理一「グランプリとはいかなかったけど・・・。
回り道して、遠回りして、道順めちゃくちゃで。
すっごい時間掛かったけど・・・。
ほんとは、こんなこと、
一番最初に言わなきゃいけなかったんだろうけど。
あなたのことが好きです。衣咲さんが好き。(笑顔になる二人。その後、涙を浮かべる衣咲。)
衣咲「そうだよ。順番、守ってくださる?」
(強く抱きしめ合い、キスをする二人。そして“ラストダンス”。
福山雅治の主題歌「東京」に乗せて“ラストシーン”へ)
私、素直に感動してしまいました・・・。何がって、衣咲のセリフ「順番、守ってくださる?」に! これって、初回話の時に茶店で理一と衣咲が、順番待ちの件でもめた時に出た衣咲のセリフと全く同じだから! 「何気無いあのセリフをこんな風に違った形で活かしてきたか!」というところに感動してしまいました。上手過ぎ! そして、「Fin.」。
」.niF「、てしそ !ぎ過手上・→・(中略)・→・・・
・・・1. 「登場人物たちの行き着く先」
11回裏、スタート!
(TBS系ドラマ「木更津キャッツアイ」の巻き戻し演出のイメージで!)
先に書いた「後ほど詳しく!」を改めて消化していきます。
1年後のラストシーンを前に、1年前のあるシーンはかなり重要でした。そのシーンとは、理一が撮った映画「犬とオジサン」の「フィルムフェスティバル」二次審査落選直後のシーン。
撮った映画「犬とオジサン」が二次審査で落選し、「HEMINGWAY COFFEE」で一人寂しげにいた理一。そこへ衣咲がやってきてどう声を掛けるかと思えば、「それで? 次はどんな話撮るの?」という前向きなものでした。衣咲の冗談っぽくさりげない後押しが、実は理一の心を癒して勇気付けていたんですね。そんな衣咲も、大阪への異動の件で「悩んだよ。悩んだ。」と告白。しかし、「そういうのもいいかなって思った。回り道しながら、自分の生き方見つけるのもいいかなって。あの映画(犬とオジサン)見て、そう思った。」と言い直したんですね。映画「犬とオジサン」の全容は見られなかったけど、主役の“オジサン”を演じた一坂さんが“犬”に向かって、「なあ、お前、『キター!』って知ってるか?」とか「ある男を調査してきてくれよ。それで、詳細キボンヌ!」とか、そんなシーンがきっとあったんだろうなあ・・・(ほんとか?)。話を戻して、その後衣咲は「(再び会うのは)10年後にまたここでとか? 10年経ったら私、41かぁ」なんて冗談を言ったんだけど、そこで理一が語ったセリフを一字一句逃さずに書き付けてみます。
理一「大丈夫だよ。
いくつになってもあなた、そのままだから。
たぶんずっと、一生ずっと衣咲さん、そのままだから。
こうやって続いていくだろうね。
こういうのってさ、終わりなんて無いんだよ。
好きって言ったから終わりってわけでも。
キスしたから終わりってわけでも。
・・・離れたから終わりってわけでもないんだよ。
ずっとずっと続いていくものじゃん。
ゆっくりゆったり、続いていくんだよね。」衣咲「うん(笑)。」
理一「んん(笑)。」
このシーン、良かったんじゃないの? 何が良いって、理一のセリフが良いわけなんだけど、それを横で聞いている衣咲が可愛いというか、表情がすごく柔らかかったんだよね。衣咲の「回り道しても遠回りしても」という“心のボール”を、理一は「ゆっくりゆったり」という“同意のグローブ”で受け止めた。実は「スローダンス」の中の「スロー」とは、カタカナ表記は同じでも、「slow(遅い)」ではなく「throw(投げる)」だったんじゃないか? なんて思ったりもしました。その直後、二人が夜道を歩く後姿のシーンが登場したけど、ここは私が予想した「二人の後姿のシルエット(Fin.)」に通ずるものがあるようにも思えます。このシーンが最終話の中で最も意味のあるシーンであって、そこでのやりとり(「ゆっくりゆったり」、「回り道しても遠回りしても」等)がラストシーンでも活かされたんだとも思えます。かなり満足してしまったなあ!
理一の中にあった「ゆっくりゆったり」の精神を、衣咲が「回り道しても遠回りしても」として同意を示し、1年後正式に二人で生きていく決意を固めたんですね。ナイスハッピーエンド! ここまで深く理解できるまでに、相当時間が掛かってしまった。最終的には、「理解」と「誤解」の間で「理解」の位置へ収束しました!
延長12回、スタート!
(再び、TBS系ドラマ「木更津キャッツアイ」の定番演出のイメージで!)
【その後が気になる人物】
・理一と離れて登場シーンさえ激減した歩美(小林麻央)。
・英介とさっぱり別れた雪絵(蛯原友里)。
・理一の良き仲間である長谷部(田中圭)と木田(西野亮廣・キングコング)。
・衣咲の元フィアンセ・江上(勝村政信)。
・実乃の元王子様・佐々木(高岡蒼佑)。
・衣咲を最後に惑わせつつ、最後に良いことをした梶。
→以前W主演の二人以外は興味が無くなってる等と書いたけど、今頃気になって興味が湧いてきてるんだよね・・・。
【最終話で気になったこと】
・英介が実乃と電話中、間をつなぐために出たのがプロポーズの言葉!
・花枝が一坂の「夜のネット生活」を赤裸々に! キターとか萌え~とか(笑)。
・自分、やっぱりこのドラマが好きだったんじゃないか?
→最後はこんな自問を・・・。
延長12回、結末へ!
(三たび、TBS系ドラマ「木更津キャッツアイ」の定番演出のイメージで!)
このドラマは、それこそ「木更津キャッツアイ」で出てきた言葉じゃないけど、「“普通”が良い」だったかもしれません。「月9」ドラマゆえに期待感ばかりが膨らんでしまい、後に起こるであろうすごい展開に急ぎ過ぎたかも。実際理一と衣咲のような関係は、現実でも“普通”に有り得ることでそれほど違和感は無い。ただ、「ドラマ」だとそれがものすごくつまらなく見えるわけで。ここにある種の「誤解」が生じ、「理解」に相当悩みました。実際、いろいろと悪く言われた「スローな展開」が「好き」という視聴者もいたわけで、実はそんな展開は何かと直接的な海外ドラマではあまり見られないものなのではないか? 日本ならではの日本人らしいものなのではないか? なんて思ったりもします。それに気付かなかったのは痛いけど、逆にそれを気付かせてくれたとも言えますね。
今更ヨイショするわけじゃないけど、今クールのフジテレビ系ドラマは、「海猿」、「がんばっていきまっしょい」、「電車男」、そしてこの「スローダンス」の4作品がありました。大きな特徴は、「スローダンス」のみがオリジナル作品だということ。他の作品は、原作や映画等でネームバリューや知名度がそれなりにあって、放送開始時点ではやや不利な位置付けでした。しかしそれをカバーしたのが、W主演である妻夫木聡くんと深津絵里さんの熱演ぶり。この二人の演技は本当に上手かったですね。何と言うか、期待していた通り安心して見られたような気がします。これまでレビューであれこれ書いてきたけど、演技に信頼感のあるこの二人が出ているから、リタイアせず最後まで見られたような気がします。そして実際、ストーリーの結末と共にその期待に応えてくれたと思っています。「終わり良ければ全て良し」なんて言葉は使いたくないけど、これまで本当にいろんなことを考えさせられたこともあって、私の最終的な評価はかなり上がりました。過剰な期待感を無くして、素のままにもう一度、今度は“普通”に見たいと思うし。そういった意味で、このドラマには感謝したいです!
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●ドラマ
「スローダンス」DVD-BOX
・「スローダンス」オリジナル・サウンドトラック
・主題歌「東京」(福山雅治)
●妻夫木聡くん主演ドラマの私的No.1ドラマ「オレンジデイズ」
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