華麗なる一族・第10話(最終話)
今回は第10話改め「最終章・後編」。鉄平と大介の親子対決の結末とその後が描かれます。初回話から嫌な予感が常に付きまとってきた状況の下で、いったいどんなことが起こるのか? そして、この「華麗なる一族」はどんな結末を迎えるのか? それでは、注目の後編です!
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○TBS系「華麗なる一族」
第10話(最終話)「決意の死~未来へ」
銭高(西村雅彦)の証言により、阪神特殊製鋼は裁判で優勢に逆転。だが、大介(北大路欣也)の策略で阪神特殊製鋼の管財人が帝国製鉄の和島(矢島健一)となった。和島は鉄平(木村拓哉)を解任し、裁判の提訴を取り下げる。さらに、阪神銀行と大同銀行の合併が決定。憤怒した鉄平は、大介の元へ乗り込む。
法廷での鉄平と大介の父子対決は、銭高の証言により阪神特殊製鋼が逆転勝利を収めたかに見えました。しかし、大介の策略で管財人の和島が提訴を取り下げ、鉄平や銭高たち役員は解雇され、大蔵大臣・永田(津川雅彦)は阪神銀行を擁護するコメントを発表したことで、再び形勢逆転。阪神特殊製鋼の従業員たちは不当解雇や合併の反対運動を始め出したが、鉄平は「君たちは、これからも鉄を作っていけるんだぞ。鉄鋼マンが錆びてどうする!」と言い、「僕の夢だった高炉を、君たちの手で完成させてほしい。そしてもう一度、この工場の煙突の煙を僕に見せてくれ。頼む!」とも言って、彼らを強く説得したのでした。
一方、大介は永田の下で大同銀行を吸収合併させることに成功し、頭取・三雲(柳葉敏郎)も鉄平もそのために阪神特殊製鋼を潰し夢を実現させたことを察しました。その後鉄平が万俵家の池のほとりにいると大介が現れ、全ての策略の件と祖父・敬介の件について会話。鉄平が「僕が本当にあなたの息子だったら、こんな戦いは無かったはずですよね? 僕は普通の家族でいたかった。ただそれだけです」と言うと、大介は「私だってそう望んでいた。だが、お前は生まれてしまった」と言い、鉄平が「僕が、生まれなければ・・・」と言い返すと、大介は「正直そう思うことがある。お前がじいさんの子じゃなかったら、私も今とは違った人生を送ったかもしれない」と言い返し・・・。涙を流しながら絶望する鉄平と、これまでの苦しみを口にする大介。そして大介が去った後、池に将軍という名の鯉が静かに現れ、鉄平は辛い気持ちをぶつけるかのように石を投げ付けたのでした。
12/24の夜、鉄平は涙を流しつつ妻・早苗(長谷川京子)と息子・太郎(荒木崇秀)に電話で別れを告げ、その夜から行方不明に。万俵家の面々もそれを知って心配するばかり。彼は先代から送られた猟銃を持って兵庫県・丹波篠山へ向かい登山していて、ある猟師の家で泊まりながらキジを撃たず山中をただ彷徨っていました。そんなある日の夜、鉄平は紙とペンを用意して何かを書き付けていて・・・。そして12/31、大晦日。鉄平は阪神特殊製鋼の作業服を着て猟銃を手に取り、数々の想い出が残る山の頂上へ向かいました。そこで鉄平は一頭のイノシシを発見したが、それもやはり撃たず。やがて一本の木の下にたどり着くと、寄り掛かって座り込みかつて撮影した家族写真を取り出して眺め、猟銃の銃口を喉元に当てて目を閉じた後、発砲。その頃早苗の元に一通の手紙が届いており、そこには鉄平の最期の思いが切々と綴られていて、全てを察した彼女はただ号泣しました。また、阪神・大同合併協定調印式の共同記者会見に臨んでいた大介は、銀平(山本耕史)から「ご令息鉄平氏 丹波篠山にて猟銃自殺」と書かれたメモを渡され、表情を変えないまま事態を察しました。その後、大介と銀平が篠山警察署へ向かい鉄平の眠る部屋に行くと、既に早苗、寧子(原田美枝子)、一子(吹石一恵)、二子(相武紗季)が。警察署員は「弾は一発しか込められておらず、男らしい死に様でした」と説明し、死亡診断書を提示。それには「死亡したとき 昭和43年12月31日 午後1時00分」と書かれた中、「血液型 B型」という記述が。それを見た大介は「どういうことだ? 鉄平はA型だ!」と言って驚くと、警察署員は「戦時中に良くあった検査ミスでしょう」と説明。つまり、鉄平は大介の実の息子だったのでした。その瞬間、大介は深刻な表情で「何という残酷な・・・」と言って悲しみ、寧子は涙を流して泣き叫び、銀平は「兄さんを殺したのは、僕とお父さんです」と発言。そして、早苗は大介に鉄平からの最期の手紙を渡しました。部屋に一人取り残され、手紙の中で自分に関する部分を読んだ大介は、横たわる鉄平をまじまじと見ながら大粒の涙を流し、息子の死を強く悲しんだのでした。
全ての不幸は、僕がこの世に存在したことが原因だ。
僕の存在が、万俵家の家族や、
それに関わる周囲の人々を苦しめてきたかと思うと、本当に辛い。
本来、僕は生まれてきてはいけない人間だったんだ。夢を追ったこの2年は、僕の誇りだ。
支えてくれた全ての人に、心から感謝する。
そして、迷惑を掛けた全ての人に、心から詫びる。これを機に、父にも、母にも、もう楽になってほしい。
僕の死をもって、万俵家の忌まわしいこと全てが、
終わりを告げると信じている。
そして、僕の工場と、万俵家の家族を、
幸せに導いてくださるよう、思いを父に託したい。
憎み合っていても、血はつながっていなくても、
僕の父親は、万俵大介だった。
せめて一度でも、お父さんに微笑み掛けてほしかった。
時は流れて昭和44年。大介は今なお激動の世の中で生き抜いていました。その闘志は、高炉の火のように燃やし続けることはできるのか? 自ら死を選んだ鉄平は、その前夜にこんなことを書き綴っていたのでした。
人間はちっぽけな存在だ。
自分を強く見せようとして、背伸びしては傷付き、
その傷口を自分自身で広げてしまう、愚かで弱い生き物だ。
だからこそ人間は、夢を見るのかもしれない。
夢の実現には困難を伴い、時として、夢は人を苦しめる。
それでも僕は、未来を切り拓くことができるのは、
夢に情熱を注ぐ人間の力だと、信じている。
しかし、志を忘れた時、
栄光はすぐに、終わりへ向かうだろう。でも僕は、何故、明日の太陽を見ないのだろう。
しかし鉄平の志は、死後も着実に受け継がれたのでした。
半年後 鉄平の夢は完成した
その火は今も燃え続けている
初回話の冒頭で、この最終話のラストと同じく鉄平が一人で雪山へ向かうシーンがありました。その手に持った猟銃で自殺を図るのか? 山頂で誰かに出会って事無きを得るのか? 期待と不安の心を抱きながらずっと追ってきましたが、やはり最悪の方向へ向かったようです。でも、鉄平の夢だった高炉が無事に建設され、望み通り煙突に煙が通ったことで、「完全なる最悪」とならなかったことだけが救いだったようで・・・。
重々しい一族の戦いを見続けてきたわけで、ラストでは確かに感動させられるシーンはあったけど、どうも心に強く響くものがありませんでした。初回話の頃は華麗さに圧倒されたりもしたけど、中盤からはそれに慣れつつ冷静に作りを見るようになり、終盤に至っては思いの外熱心に見ていなかったような気も。まあ別視点からものを言うと、将軍やイノシシやキジといった生物のせいで笑いと呆れがあったんですよね。ただ、「それが無かったらどうか?」と問われると、それでも評価はさほど変わらなかったような気も。やはりフジテレビ系ドラマ「白い巨塔」とどうしても比較してしまって、心のどこかで優劣を決め付けていたような気も。「華麗ではあったが、心に強く残らなかった」。これが私の素直な感想でした。
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