「シャル・ウィ・ダンス?」の日米版比較
日本テレビ系「金曜ロードショー」で、日本の名作映画「Shall we ダンス?」をリメイクしたアメリカ映画「Shall we Dance?」が1/12にノーカットで放送されました。本家の日本版はすごく好きだけど、リメイク版は見たことが無かったので、このたびじっくり見てその比較を楽しみました。
○関連記事・goo 映画・「Shall we Dance?」のあらすじ
【 http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD7044/story.html 】
○映画「Shall we Dance?」・あらすじ(「goo 映画」より)ジョン・クラーク(リチャード・ギア)は、遺言書の作成を専門にするシカゴの弁護士。高級デパートに勤める妻ビヴァリー(スーザン・サランドン)と2人の子供に囲まれた、幸福な暮らしを送っている。しかし心のどこかに空しさを感じていた彼は、ある日、通勤電車の窓を通して、社交ダンス教室の窓辺にたたずむ美しい女性の姿に目を留める。そして衝動的に電車を途中下車。ダンス教室へと足を踏み入れたジョンを迎えたのは、その女性、ポリーナ(ジェニファー・ロペス)だった。成り行きで入門クラスの一員になったジョンは、競技ダンスの世界で活躍していたポリーナが、1年前のトーナメントで挫折を経験し、パートナーだった恋人とも破局していたことを知る。それ以来、ジョンはレッスンの日を心待ちにするようになり、日常生活では味わえない達成感をダンスにより経験していく。やがて教室には、ジョンと同じ法律事務所に勤めるリンク(スタンリー・トゥッチ)が長髪のカツラを被って現われ、彼と奇妙な絆で結ばれたりも。しかし夫の変化に気づき、浮気を疑ったビヴァリーは、ディヴァイン探偵(リチャード・ジェンキンス)に調査を依頼。ジョンのダンス通いは妻にバレてしまう。そんな時、ジョンは教室の主宰のミッツィー(アニタ・ジレット)の勧めで、コンテストに出場することになる。彼はポリーナからの猛特訓を受け、コンテストの当日、パートナーのボビー(リサ・アン・ウォルター)と共にダンスフロアに立つ。しかし客席に来ていた娘の声援に動揺したジョンが、ボビーのスカートを引きずり降ろして、ダンスを中断させてしまう。それ以来、ジョンはダンスをやめてしまうが、仲間からの暖かい誘い、そしてビヴァリーとの和解を経て、再び踊る決心をする。そして正装したジョンは、ビヴァリーの仕事場であるデパートに出向き、彼女と共にパーティーへと向かうのだった。
日本版がかなり有名だから今更言うことも無いかもしれないけど、一応ネタバレありの要約を。
○日米「シャル・ウィ・ダンス?」・要約妻子持ちのある中年男性が社交ダンス教室のある若い女性に惹かれていつしか生徒として通い出し、やがて実力を付けて教室の女性とダンス大会に出場したけど、ダンスの最中に客席の妻と子を発見し動揺したはずみで相手の衣装がずり落ちて台無しに。男性は家族へ事情を話してダンスを辞める決心も固めたけど、以前惹かれた女性が社交ダンスの道で再起することになり、駆け付けた男性と現地でのラストダンスを踊ってグランドフィナーレ。
アメリカ版は、日本版のベースストーリーをアメリカ風にアレンジした形でした。だから、あらすじや要約としては同じようなことが書けるけど、実際のイメージはやはり違いがはっきりしていました。以下に私のイメージを挙げてみます。
・中年男性のステータス
日本版は「庶民の男性」。アメリカ版は「裕福な男性」。
国の違いもあって単純比較はできないけど、「生活レベルが全く違う」という印象。日本版の“一庶民が華やかな場でダンスを披露”が面白いんだけどなあ。アメリカ版の“カッコ良い人がカッコ良くダンスを披露”は「そこが重要ではない」と言いたくなるなあ。
・中年男性のダンス
日本版は「かなり努力」。アメリカ版は「適度な努力」。
最初は初心者コースでダンスを習うんだけど、日本版での“緊張しまくって足が付いてこない辛さ”は、アメリカ版では“ちょっとつまずくけどすぐに上達”といった印象。日本版のターンもロクにできない初心者らしさが好きだったんだけど。だからこそ、ダンス大会でのダンスを見てその上達ぶりに感動できたんだけど。
・ダンサーたちの体つき
日本版は「普通・痩せ・肥満」。アメリカ版は「マッチョ・ナイスバディ」。
日本版でも衣装の下は「私、脱いだらすごいんです」かもしれないけど、アメリカ版では誰もが見るからにスタイルが良くて、男性はムキムキだし女性はグラマーだし。それはダンサーじゃない人物にも言えるし。
・ラストダンス
日本版は「大感動」。アメリカ版は「ありがちな日常」。
日本版は、ダンスの宴の最後に会場が暗転し、女性が誰を選ぶか迷っていた時に男性が到着して、「シャル・ウィ・ダンス?」の一言から二人が踊り始めて素敵なフィナーレを迎えます。アメリカ版は、会場も暗転せず男性は妻と駆け付けて踊る前にキスまでして、女性と踊るシーンの後には自宅でまた妻とキスをするシーンが流れます。別に家族崩壊を望んでいるわけではないけど、やっぱり男性には一人で会場へ来て女性とダンスを楽しんでほしかった。ラストシーンのこの違いはかなり大きかったなあ。感動度は日本版の大勝ち。アメリカ版はパーティー自体が日常的だし感動もあまり無く、普通に完結したといった感じでした。
よって、日本版の方が素敵! ドウ・デ・ショウ?
中年男性についてぶっちゃけて言うと、日本版では生活レベルや社会的地位はやや上でダンス能力はかなり独力して身に付けたのに対して、アメリカ版では生活レベルも社会的地位も十分な上にダンス能力がポッと備わった感じがしたんですよ。それ故に、「日本人は努力家」の要素と「アメリカ人は野心家」の一般的な要素がはっきりと出ていて、日本人の私は日本版の男性には感情移入できたけど、アメリカ版の男性には“遠くの世界の人”みたいに思えてほとんど共感できる部分がありませんでした。もし私がアメリカ人だったら、日本版を見て「ニホンジンはナゼにソンナにガンバル?」と楽観的に思っていたかもしれませんが(笑)。「ウルトラマン」と「スーパーマン」でもそういった違いが垣間見えたりしますよね。前者は「体が大きいから敵と対等に戦えるけど地球上に3分間しかいられないという制限がある」、後者は「体が小さくても敵と対等に戦えて能力も抜群である」といった感じ。日本人は「常日頃悩みを抱える人種」。アメリカ人は「何事もパワーで押し切る人種」といった感じも・・・。
結局のところ、文化も性格もステータスも異なるから、同じストーリーでも作る国によって違いはどうしても発生するということですかね。この物語は日本人がアメリカ人より馴染みの無い「社交ダンス」に取り組む話だから上記のような感想になるけど、アメリカ人より馴染みのある演目だったら形勢が逆転するかも? 例えば「Shall we 日本舞踊」とか「Shall we 歌舞伎」とか。私的には「Shall we お笑い」なんかも見たいけど。それ以前に「Shall we ○○」にこだわる必要も無いけど(笑)。ちなみに、日本版の監督を務めた周防正行さんによる約10年ぶりの新作映画「それでもボクはやってない」が登場。これも是非見てみたいですね。Shall we 映画鑑賞?
映画「Shall we ダンス?」/「Shall we ダンス?」オリジナル・サウンドトラック(日本版)
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