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2006.11.13

のだめカンタービレ(番外編2)“ED曲・ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」”

ドラマ「のだめカンタービレ」のエンディング曲として使われる、ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」についての「番外編」記事を公開する、のだ!

○フジテレビ「のだめカンタービレ」

○ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」とは?

アメリカの作曲家・ガーシュウィンの代表曲で、たった2週間で書き上げた大作。彼自身は元々ピアノ奏者で、オーケストレーションに不慣れだったため、グローフェに託して今ある構成が確立。最大の魅力はジャズとオーケストラの融合で、ピアノ独奏の部分は極上のメロディ。初演の際は彼自身がピアノを演奏し、全て暗譜で弾いたという話も。

クラシックの中でもジャズ要素が割と強いので、映画「海の上のピアニスト(原題:THE LEGEND OF 1900)」でのジャズピアノ演奏に魅せられた人なら、間違い無くハマるはずです。実は私がそうでした(笑)。ドラマのエンディング曲として流れるのは、序盤の5分後辺りの盛り上がり所を縮めに縮めた“超短縮バージョン”となっています。“超凝縮バージョン”とも言えるかな。“♪タタタ・・・タンタンタラン、タタタ・・・タタタンタンタラン”という勢いあるピアノから始まって、そこに壮大なオケの演奏が加わっていく形になっていますね。実は、そこに至るまでのピアノ独奏が、これまたすごいんデス・・・。

イントロは、クラリネットのグリッサンド(音を区切らずスライドさせる演奏技法)から。「クラリネットでそんなことができるんだなあ」というのが第一印象でした。時折オケの音が一斉に入ってくるんだけど、その後全てが収まってピアノ独奏に移り、カデンツァ(演奏者が自由で即興的な演奏をする部分)の世界が広がります。それを私は「すごいんデス」と言いたいわけなんですが(笑)。途中途中で序盤のクラリネットのフレーズが繰り返されながらも、ゆったりとしたメロディや素早いメロディが織り交ぜられて、その様子はまるで“音の縦波波形”のよう。基盤を固めて好き勝手かつ攻撃的にのらりくらりと弾きこなす様子は、言うなればあのジャッキー・チェンも得意とする“酔拳”のよう。型にはまらない独創的な調子が、もうたまりません。それはつまり、指揮者や演奏者によって曲調や印象が大きく変わるということに。私もピアノ独奏部分を中心にいろんな音源を聴き比べてみたんですが、「のだめカンタービレ(オムニバス盤・現在廃盤)」、「のだめカンタービレ Selection CD Book」、「ベスト・ピアノ100」等の中では、演奏の質やレベルは別として「のだめカンタービレ Selection CD Book」のものが一番好きでした。ピアノの音が最も頭に残ったんですよ。こびりつくみたいに。ぎゃぼー。

そしてピアノ独奏は、フォルティッシモ(ff:とても強く)レベルで苛立ちを見せるかのように、御馴染みの“♪タタタ・・・タンタンタラン”に入り、オケの演奏が加わってきます。イントロから聴けば、きっとこの辺りで震えてしまうぞ~。そこからはオケの方がメインになって、ピアノ音が効果音的にサポートする形に。それでいて、「メインの座を譲るわけにはいかねぇ!」といった自己主張が激しいこと。メロディ自体は、ジャズっぽくノリが良くて、気分は何だかアメリカン(笑)。そして“ジャン!”という区切りと共に“ホワンホワンホワワワ~ン”という音で一旦静まって、新たな展開へ移ります。ドラマのエンディング曲として聴けるのはここまで。でも、その後もピアノ独奏は続き、オケの演奏も所々で入って、ラストではまたまた勢いが掛かりつつ、約20分の世界が終わりを告げます。その間にもCM音楽等で使われたことで有名になった部分があって、聴けば誰しも「ああ、あれあれ!」と思うはずです。実はドラマの第4話にて、Sオケがベートーヴェン「第7番」を見事に演奏し切り、シュトレーゼマンを始めとする観客たちがスタンディングで拍手を贈っていた際に流れていた曲こそが、その部分だったんですね。そのすぐ後に流れたエンディング曲と同じ曲だったとは、なかなか思い付かなかったかも? だから原点に戻って言えば、エンディング曲だけを知っている状態で曲全体を聴くと、「実際はこんな世界だったのか!」と驚いてしまうはず? 私は大変驚いてしまって、しばらくの間「ラプソディ・イン・ブルー」ばっかり聴いていました。だってすご過ぎるから。むきゃー。


一応、「ここからはネタバレです」とご報告!

原作未見でドラマ自体を楽しみたい方は、
ある意味で読まない方が良いかもしれませんが、
どうぞご理解くださいませ。 m(__)m

さてさて、この「ラプソディ・イン・ブルー」が「のだめ」とどう絡むかというと、「単なるエンディング曲」ではないことは確かです。原作を知っている方ならもうお分かりですよね。ドラマの第5話で放送予定の、「学園祭でSオケが演奏する曲目」であるわけです。千秋がSオケの指揮を退き、代わりに“Aオケの歴史的大失敗”を作り上げた大河内が指揮を担当し、メンバーが仮装を辞めて紋付袴を着こなして挑む“Sオケ・和製ビッグバンド”が演奏するわけなんですね。その宣伝ポスターには、まだ終わっていないというのに「伝説のステージ・決して一人では見るなヨ」と勝手に伝説化した表現で書かれているんだけど(笑)。しかし、これがすごい! 舞台照明が落とされたまま、Sオケのメンバーが舞台に上がって、A(ラの音)でチューニング。しかし、千秋の耳にはピアニカの音が確かに? そう! 実は、「ラプソ」のイントロ部分のクラリネットを、マングースの着ぐるみを着こなしたのだめがピアニカでコミカルに演奏するんデス!(笑) 「きゃああ!」や「かわいい!」という声援の中で、千秋も一瞬でそれを察し「のだめだ」と眉を歪ませて呟く始末。しかしそれも束の間、千秋はその演奏レベルに目を見開いて、「カッコイイじゃねーか!」と思い始めます。曲のアレンジは良く、パート分けも巧みで、芸も細かい。もちろん、峰たちによるヴァイオリンを高々と掲げるアクションもあり。のだめだって、ピアニカの二人弾きなんてやっちゃうぞ(笑)。そして、大河内も汚名挽回の指揮を見せ、千秋もシュトレーゼマンも大絶賛。と、原作ではこうなっているんだけど、第5話では「ラプソ」の演奏がどんな具合に披露されるか、どんな風に実写化されアレンジが施されるかが本当に楽しみです。特に、のだめのイントロのピアニカにはまず注目。言うなれば、「ラプソディ・イン・ブルー」に掛けて「のだめ・イン・マングース」といったところ?(笑)

それで・・・。実はこの第5話、Aオケに参加した千秋が“ドナドナ状態(国の者に連れていかれる)”のシュトレーゼマンとの共演を果たす、日本での最後の演奏になるんです。Sオケの演奏が学園祭・前夜祭。千秋&シュトレーゼマン他によるAオケの演奏が学園祭・本祭。つまり、千秋たちの方が本当の意味でのメインなんですね。千秋も「本祭のトリはオレ様なんだよ」と呟く状態。その曲目とは、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」。これまた有名で名曲なんですが、シュトレーゼマンの指揮に千秋がピアノで参戦して成功を収めるという感動巨編になるはずです。そのシーンが描かれる原作の「Lesson26」の表紙絵は、ピアノに向かって椅子に座るシュトレーゼマンと千秋のバックからのカットで、その微妙な距離感と哀愁ある後姿に、私が「どこか似ている」と良く呟いているマンガ「ツルモク独身寮」の“男同士のカッコ良い部分”の雰囲気を感じます。ドラマとしては、やっぱりこっちにも力を入れてくるんだろうなあ。はっきり言って、こっちは壮大過ぎて語り尽くすのも難しいので・・・。

というわけで、皆さんも一度「ラプソディ・イン・ブルー」をフルで聴いて楽しんでみてください。ガーシュウィンや「のだめ」の関連CDで聴くことができますのでね。「ピアノ協奏曲第2番」もオススメだけど、ここでは私もハマリにハマった「ラプソ」の方を一押ししておきますよ!

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「『のだめオーケストラ』LIVE!」 「ブラームス 交響曲第1番 ~のだめカンタービレ」
「『のだめオーケストラ』LIVE!」/「ブラームス 交響曲第1番 ~のだめカンタービレ」

「のだめカンタービレ」オリジナル・サウンドトラック
「のだめカンタービレ」オリジナル・サウンドトラック

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原作コミックス「のだめカンタービレ(1)~」(二ノ宮知子)

「のだめカンタービレSelection CD Book」 「のだめカンタービレ Selection CD Book(vol.2)」
「のだめカンタービレSelection CD Book」/「のだめカンタービレ Selection CD Book(vol.2)」

「のだめカンタービレ キャラクターBOOK」 「のだめカンタービレ 2007年カレンダー」
「のだめカンタービレ キャラクターBOOK」/「のだめカンタービレ 2007年カレンダー」


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コメント

>ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」とは?
これこれ、これが知りたかったのよ!また長く語ったわねぇ(笑)
主題歌とかって、まぁ普通に聴くけど、オーケストラ、クラシック、ピアノ曲はもう外せません。思い起こせば「WITH LOVE」「砂の器」「スイングガールズ」のサントラは、嫌っちゅ~程聴いたわよ(^▽^;)「のだめ」絶対欲しいと思いますもん♪やはりどっかで聴いたよなぁって選曲の配慮も感じられ?嬉しい♪ソフトバンクのCMとのタイミングは流石だよー(笑)それこそ「聴いたことない」人居ない位。
エンディングのあのコミカルさも曲とピッタリ合ってて大好き。
レビューより食いついてしまったぜぃ(^▽^;)あずさん、ありがとねぇ♪


投稿: マナ | 2006.11.13 12時59分

私としては、「ラプソ」を熱心に聴いていただきたい! 本来ピアノ曲が好きなので、この曲のピアノ独奏部分はたまりません! 是非お試しあれ! 「のだめ」のドラマ化にあたって、無理にアーティストの主題歌を当てないで、ストーリーに関連するクラシック曲を持ってきたのは正解でしたね。「WITH LOVE」を除いて(すまぬ)、私もその辺りのサントラはしっかり聴いています。音楽担当の服部さんによる「天才柳沢教授の生活」のサントラなんかもオススメですよ。今でも良くテレビ東京系の番組で使われているし(笑)。こちらこそ、番外編記事にしっかり食い付いてくれてありがとねぇ♪

投稿: ads(あず)@管理人 | 2006.11.14 00時47分

>そこに至るまでのピアノ独奏が、これまたすごいんデス・・・。
等など、正にあずさんの言う通り。何でこう上手く表現出来るかなぁ(^▽^;)
聴きまくってるわよ「ラプソ」も「ピアノ協奏曲第2番」も「第7番」も♪
通勤車中はコンサートホール!よってボリュームも上げねばね(笑)
私は首を振っちゃってるわね(指揮者かよ!)
でもね、すぐに到着しちゃうからエンジン切るのが辛いとこよ。
信号も慌てず待てるようになりました(笑)
夕飯の支度中とかも子供と聴いちゃってるし(^_^;)今も耳から離れません♪
とうとうマンガにも手を出し、5巻まで読みしましたよ。
マンガを読んでた人の「キャスティングがバッチリ」はそう感じましたね。
マンガが後だった私には、千秋様は玉木様、のだめは上野ちゃんにしか見えず…ミルヒーの言う「のだめちゃん」は「のぉだぁめちゅぁん」にしか読めない(≧∇≦)ノ彡 バンバン!
マンガも本当に面白かった!
定期演奏会のシーンは、鳥肌もんでしたけど、マンガでも!何で?(^▽^;)
マンガでは音楽部分はどう表現してるのかも興味があったけど、全くそんな事忘れて読んでしまってた。先にドラマ見てたせいもあるだろうけど。
来月はサントラ絶対手に入れるぞ!
”自分へのご褒美”名目のお買い物がいっぱい出来るお誕生月間だしぃ(笑)


投稿: マナ | 2006.11.23 14時47分

マナさん、聴いてる聴いてる? 「ラプソ」他を、フルで?(笑) 車中で大音量ね、容易にイメージが浮かびます(褒めてます)。しかも、ついに原作にまで手を出しましたかコノヤロー! 「原作に忠実」が良く分かったでしょう! 千秋やのだめやミルヒーに萌えるでしょう! 勢いのあまり言葉使いが悪くなってるけど、いつものテンション高くうれしいコメントのお返しを今しようと思って必死デス(笑)。来月発売のサントラは、過去の名曲よりは服部さんによるオリジナル曲が聴き所ですね。「のだめカンタービレ ベスト100」も良さそうなんですよね。そうか、お誕生月なんだった。ドーンとプレゼントしたいところです~。

投稿: ads(あず)@管理人 | 2006.11.24 02時56分

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