「人間の証明」の映画版を見ました
2004年夏に放送されたフジテレビ系ドラマ「人間の証明」は、視聴者を楽しませる工夫が盛り込まれて好評を得ました。私も全10話を欠かさず見たけど、良いドラマだと思いました。そしてこのたび、1977年に公開された映画版の「人間の証明」を見ることができました! ドラマから入った私としては、ストーリーの主軸はあまり変わらないものの、その描かれ方の違いに驚きました。それでは、近代ドラマ版を基準とした相違点を、ネタバレ要素も含めて軽くまとめてみます。
○関連記事・『「人間の証明」・全話レビュー』
【 http://adstv-web.cocolog-nifty.com/studio/2004/09/post_12.html 】
○goo 映画・映画版「人間の証明」のあらすじ
【 http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD18743/story.html 】
・原作 森村誠一
・出演
松田優作(棟居弘一良) 岡田茉莉子(八杉恭子)
三船敏郎(郡陽平) 岩城滉一(郡恭平)
ハナ肇(横渡刑事) 鶴田浩二(那須警部)
長門裕之(小山田武夫) 范文雀(なおみ)
夏八木勲(新見隆) 他(順不同)
○「人間の証明」・ドラマ版と映画版の相違点・「郡恭子」ではなく「八杉恭子」として登場。
(ただし、夫や息子は「郡」。ドラマでは旧姓として紹介。)
・八杉恭子(郡恭子)は、ファッションデザイナーとして登場。
(ドラマでは、原作小説と同じで有名エッセイストという設定。)
・ジョニーの遺言の「ストウハ」を、あっさり「ストロウハット」と見破る棟居。
(驚くほどに勘が冴える棟居@松田優作。)
・ジョニーの「キスミー」は、おでん屋の客が語った詩を元に「霧積」と判明。
(棟居たちが盗み聞きして調査。ただの客@大滝秀治は大手柄。)
・アメリカ人刑事たちの、ひどい日本人批判。
(この辺りは過去の歴史に基づくものがある。)
・ドラマで車椅子生活を送っていた小山田は、映画では普通に歩いている。
(マジックハンドはもちろん持たず。警察を疑う食い付きぶりは同じ。)
・棟居の父が殺されたのは、横須賀ではなく新橋の闇市だった。
(同時に、八杉恭子を見ただけで、その事件の時に会った人物だと分かる。)
・棟居は、父をなぶり殺した元米軍の刑事(ケン・シュフタン)を、拳銃で撃った。
(ただし! ケンが映った鏡に向かって撃ったのだが。)
・郡恭平は、小山田の妻を車ではねて、殺してしまった。
(ドラマのように「別荘で軟禁」ではなかった。)
・郡恭平が大事にしていた品は、ぬいぐるみではなく懐中時計だった。
(母・恭子が買ってくれた、日本に数個しかない時計。事故時に落とす。)
・ケン・シュフタン刑事は、終盤で黒人に刺し殺される。
(それは、誰もいない廃墟で、静かに。)
・八杉恭子は、終盤で自らの罪を授賞式で告白し、投身自殺をする。
(ドラマで大注目された、棟居との取り調べシーンはない。)
こんなにも相違点があるんですね。見どころの一つとして、映画の中盤で郡恭平が母・八杉恭子へ犯行を自白するシーンがあります。ここで八杉恭子が息子をアメリカへ向かわせるんですが、ここでタイトル「人間の証明」を象徴するセリフが登場します。
○八杉恭子が語る「人間の証明」の一つ「恭平さん、辛いでしょうけど、罪を背負って、
これからどうやって生きていくかってことが、
あなたの人間としての証なのよ。」
外で雷が鳴り、停電になった夜、恭平の部屋で語られるんですが、ここがかなり見ものです。終盤では、八杉恭子が授賞式でジョニーと恭平の二人の息子に対する思いを、西条八十詩集の「帽子」の一節を交えて語り、はるばるアメリカから会いに来たジョニーを刺したことを自白します。ここは最大の見どころであり、「人間の証明」を強く訴えるシーンでもあります。ドラマ版を見た上で映画版を見ても、結構面白い作品だと私は思いました。興味がある人は、是非一度見てみてくださいね!
ところで私、この映画版「人間の証明」を、以前深夜のテレビ放送で見たことがありました! 途中までは全く気付かなかったんだけど、郡恭平が日本にあまり無さそうな懐中時計(事故時に落とした)を、事件隠蔽のために大金をチラつかせてでも手に入れようと動くシーンで、「これは見たことがあるぞ?」と。その後も、棟居が鏡に映った外人の刑事(父親殺しの一人)に向かって発砲するシーンや、その外人が刺し殺されるシーン等が出るたびに、「やっぱり見たことがあるぞ?」と。私の記憶では、「たまたまテレビを付けたら松田優作が出ていて、面白そうだから見てみた」という感じだったと思います。おそらく中盤辺りから見たのかな。出演者の顔ぶれは事前に知っていたけど、まさかそれが「人間の証明」だったとは・・・。逆に全てを見たことで、過去の中途半端な視聴が完全になって、結果的には良かったなあ・・・。
※この記事は、「連続リンク記事」企画の一つです。
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