ドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」が完結しました。「白血病」という現実に直面してこの上無い悲劇が続いたけど、「白血病による死」を間近で見た人物たちが今日も強く生きる姿が最後に描かれた点で、「ハッピーエンドだった」と思いました。
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○TBS系「世界の中心で、愛をさけぶ」
第11話(最終話)「かたちあるもの」
意識不明の状態で病院に運ばれた亜紀(綾瀬はるか)は、翌朝、息を引き取った。亜紀の死を受け入れられないサク(山田孝之)は葬儀を欠席。心を閉ざすように。一方、谷田部(松下由樹)らは亜紀が残したメッセージテープを聴き、悲しみに暮れる。後日、真(三浦友和)と綾子(手塚理美)は亜紀の遺言どおり遺骨をまくため、サクを連れてオーストラリア・ウルルへ。
序盤、2004年の大人のサクが、交通事故に遭った明希の意識回復を知ってホッと一息ついたところから始まりました。そのまま1987年、前回終盤に空港のロビーで倒れたアキをサクが後ろから抱きかかえて、「助けてください・・・」と祈った後からスタート。いよいよ、最悪な事態が展開されることに・・・。
夜が明けて、病院で母親に起こされたサク。そしてすぐさまアキの個室へ向かってみると、布団等がたたまれてネームプレートも外されていた。アキはいなかった。いや、息を引き取っていた。アキの死に際は笑顔で幸せそうで、最後に「サクちゃん・・・」と言い残したという。サクは荒れたりもしたが、やがて生きる気力を失ったかのように沈んでいった・・・。
アキの葬儀当日、サクはその場に現れなかった。両親と門前までは行ったのだが、アキの死をどうしても受け入れられず、どこかへ走り去ってしまう。一方葬儀場では、アキの入った棺桶の中に、ボウズは青系のニット帽を、スケちゃんはザ・ブルーハーツのカセットテープを、智世は陸上競技のシューズを、矢田部先生はホイッスルを添えた。全てアキとの想い出の品ばかり。今日まで冷静でいたアキの母親も、この時ばかりは声を大にして号泣。アキの父親はそっとなだめるだけ。そして静かに棺桶の蓋がかぶせられた。これは現実でもそうだけど、見ていて辛いシーンでしたね・・・。
その後、アキが生前に吹き込んだ、知人一人一人に向けたカセットテープが本人たちの手に渡った。智世、ボウズ、スケちゃん、矢田部先生の順で、カセットテープの内容が明かされる各々のシーンがあったけど、皆それを聴いて泣いていた。こんな別れ方なんて、ずるいよなあ・・・。ところでそのシーンで、スケちゃんと同じくボウズがピアスの穴を開けていたのを発見! これは今まで気付かなかった~。坊主にピアス、うん、なかなか(笑)。でもたこ焼き屋で、“たこ焼きを頬張って泣くボウズと、後ろで泣きこらえていた店主”という絵は良かったよね。ちなみに、サクへのカセットテープは無かったんだけど、それはアキが最後まで一緒でいるつもりだったかららしい。そんなサクは、これまでアキからもらったたくさんのカセットテープを、自宅の部屋で何度も何度も聴き返していた・・・。
アキの両親が部屋を片付けていた時、空港管理課紛失物係から受けた花柄の何かの包みを破った父親。これは前回空港でのラストシーンで最後にアップで映ったものだけど、その中身はアキ自作の「ソラノウタ」という空の写真付きの絵本だった。アキの将来の夢が絵本の編集者だったことを話す母親。アキとはあまり会話が無かった父親は、その夢を知っていたのだろうか? そんな父親は、アキの遺言通りに遺骨をオーストラリアのウルルでまくことに決めた。サクにも同行してもらうことにしたが、そのサクは幼馴染みの三人や自分の父親に強く反発する有り様。この時、ボウズやスケちゃんが本気で責めたり殴ったり、父親がグズグズしている我が子を見て叱ったんだけど、すごかったのは父親の方。掴み掛かってきたサクを力で退けて、「どうして送ってやること一つできない! えっ! どうして死んだ人間の頼み一つ聞いてあげないんだ!」と言って庭へ放り投げたシーンは強烈だった! サクの父親は、母親とは違って温和な性格だと思っていたけど、時には力ずくで子を強く叱ることもあるんだね。そんな父親役の高橋克実さんの熱演ぶりが良過ぎて、今後の彼の見方が今更ながら変わったりして。とにかくこの一件で、サクはようやく同行することを決心した・・・。
そしてオーストラリア・ウルル(「地球のへそ」こと、エアーズロック)でのシーン。アキの両親と共に遺骨をまこうとするサクだったが、まくことができなかった。アキの両親が先に岩山を降り、一人になったサク。急にモノクロシーンになったし、サクはアキの後を追って身を投げるんじゃないかという心配も。しかし再びカラーシーンになって、「温度も無い、重さも無い、吹けば飛ぶような白い粉、それがアキだった」というナレーションの後、遺骨を握り締めた左手を顔面に当ててその場で崩れ、「アキーッ!」と泣き叫ぶサク。このシーンこそが、タイトルでもある「世界の中心で、愛をさけぶ」でした。バックでは「朔と亜紀(サントラ盤に収録)」が流れ、「僕の、好きな人だった」というナレーションを重ねてのウルル全景の空撮が、このシーンを大きく盛り上げました。同時に、初回話冒頭のシーンへつながっていったんですね。サクはアキとの想い出の品々を缶に詰めて封印し、矢田部先生には将来医者になることを告げた。それからは勉強に没頭する日々が続き、「それが、僕の17年だった」という現在2004年のサクのナレーションが入って、全ての回想が終わりました。
ここで2004年のシーンへ。17年前の決意通り医者になったサクは、意識を取り戻した明希と会話した後、自転車に乗ってアキの実家へ。その時、外出先から帰ったアキの父親に「まだ生きてたのか」と言われながら再会するんだけど、あたふたしたサクの姿は昔のままでしたね。家の中ではアキの母親も元気でいて、サクは仏壇の前で手を合わせた後、アキの父親と防波堤で会話。サクはかつてアキが残した自作本「ソラノウタ」を手渡され、「忘れたいのでも、忘れないのでもなくてね、人間は忘れていくんだよ、生きていくために」や「良く頑張ったなあ、サク。生死を扱う仕事は、辛かっただろう。もう、充分だ! ありがとう」とも言われ、その場で涙。すると今度はサクがアキの父親に、骨を少し分けてほしいと依頼。それは、サクがアキを一度も送ったことが無かったからでした。
「ソラノウタ」を全て読み終えたサク。「生きていくあなたへ」から始まり、「なぜなら、おまえの中にいるからさ おまえの脚はあの子の脚だ」で終わり、最後にホイッスルを吹く女の子の挿絵と共に、「がんばれ」という赤く大きな文字。サクはアキの遺骨をまくのにふさわしい場所を、それで悟ったんですね。その場所とは、高校の運動場の陸上トラック。サクはスタートラインで、アキの遺骨が入ったカメラのフィルムケースに向かって「走りたいだろう? アキ」とつぶやき、今度は右手でアキの遺骨を握り締め、そして空に向けてその手を開き、まいた。遺骨は風に乗って自由を取り戻し、サクはそれを追いかけるかのように走り出した。アキの走る姿と重ねながら。「行けー! アキー!」。ここでまたバックで「朔と亜紀」が流れ、サクの最後のナレーションが入りながら、主題歌の「かたちあるもの」につながっていくのでした。
サクの最後のナレーション
追い付けない速度で去っていくアキを 僕はもう捕まえることはできない
生きている限り 君と僕とは遠くなるばかりだろう
だけど 僕は走ることをやめない
走り続ける僕たちの足跡は 君がいた 証だから
アキの幻:「がんばれ サクちゃん(ホイッスルの音)」
走り終わったその時に 君に笑って 逢えるだろう
エンディングでは、高校生の姿のサクが走り始めながら、現在を生きる主要人物たちが映されました。智世はスケちゃんでない夫を持つ主婦に。でも娘の名前はアキと同じ「亜紀」だった。ボウズは正式なお坊さんに。たこ焼き屋でのたこ焼き食いも今なお続く。スケちゃんは海で船を流す男に。かつて無人島・夢島で撮ったサクとアキの昼寝姿の写真を船に飾っていた。この三人は顔だけ映りませんでした。矢田部先生は現在も教師で、文化祭の出し物に17年前と同じ「ロミオとジュリエット」を強引に決めた。アキの両親は防波堤でお弁当。カニクリームコロッケが重要なアイテムだった。サクの両親はじいちゃんが残した松本写真館を守り続けていた。ごく普通の姿だったけど、それがまた良かった。そして、サク。サクは明希とその息子の一樹と生きることを決めたんですね。自転車に三人乗りして走る姿が印象的でした。さらに大ラスト! エンディングの最初で走り出したサクが防波堤まで来た所で走るのをやめると、誰かが後ろからサクの頬をつつきました。それはアキでした。「(アキが笑って)びっくりした?」、「(サクが笑って)したよ」と会話して海を見た後、手をつないでどこかへ歩いて去っていくのでした。サクの最後のナレーション通り、走り終わった時に笑って逢えたんですね。「ソラノウタ」が閉じられた裏表紙には、青い空の写真。その写真をバックに、「世界の中心で、愛をさけぶ Fin」。完璧なラストでした!
どうだったでしょうか? 自分自身がこの結末を忘れないために、あらすじを事細かに書き残すようにして感想を書いたけど、何度も手が止まって下書き状態のものをなかなか公開できませんでした。実はこの最終話の本編を見た時、悲しみや感動がたくさんあったはずなのに、涙は全く出なかったんですね。それで、最後のエンディングを見た辺りで、現在もアキのことを思い抱いて強く生きる人たちの姿を見て、ようやく涙が出てきたんですね。その後、録画しておいたのを見返したら、序盤から涙が流れっぱなし。最後なんてもう、まともな状態で見られませんでした。これって、じいちゃんが亡くなった時のサクに少し似ているなあなんて。最初は事態をとらえきれずに涙が出なかったけど、後になって何かの拍子で号泣してしまうところが、ね?
このドラマ、予想以上に良かったです! 小説や映画の話題作をドラマ化したTBSは、ここでも何度となく書いたけど、本当に落ち度無く丁寧に作品を作り上げたように思います。今年の流行語大賞は、「セカチュー/セカチュウ」がノミネートされることはまず間違い無さそう? “セカチュー”こと「世界の中心で、愛をさけぶ」に関しては、今後もいろんな形で記事にしていきたいと思っています!
「世界の中心で、愛をさけぶ」DVD-BOX
「世界の中心で、愛をさけぶ」オリジナル・サウンドトラック(河野伸)
(2曲目の「朔と亜紀」だけでも聴き応えあり。私もお奨め!)
「世界の中心で、愛をさけぶ」主題歌・「かたち あるもの」(柴咲コウ)
「世界の中心で、愛をさけぶ」原作小説(片山恭一)
(意外にも不評だそうで、ちょっと驚いているんですが?)
「世界の中心で、愛をさけぶ」映画版・MEMORIAL BOX
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